下水君100周年記念企画 ~ 汚水桝・雨水桝鉄蓋
汚水桝・雨水桝鉄蓋
下水君100周年記念企画の第9回。今回は汚水桝と雨水桝の鉄蓋を取り上げる。写真は格子模様が斜めに入ったお洒落な雨水桝鉄蓋。中央の下水君も短足都章だが立派だ。
同じデザインの中型の蓋。わかりやすい4/9サイズ。
このタイプの雨水桝鉄蓋は東京市の下水道事業の初期から存在したようで、東京市下水改良事務所が大正4年に作成した青写真にも記載されている。2種類あるが2種類とも現存しており、小型の蓋は後日追記予定だ。(2011/12/12:追記しました。ご協力いただいた皆様ありがとう!)
続いて汚水桝鉄蓋。臭気の逆流を防ぐため、鍵穴のみで他に穴が開いていない。
鍵穴が斜めに開けられた蓋。
一回り小型の蓋。
網目模様が縦横逆になった、というか下水君が90度回転した蓋。
さらに小型の蓋。(† 路上文化遺産データベースより取得し加工。作者:国鉄型すとーかー 、利用許可:CC BY-SA 3.0)
このタイプの蓋も東京市下水改良事務所の青写真に記載されており、とても古い蓋と言えるだろう。(画像クリックで拡大表示)
同じく青写真にあった面白い模様の蓋。この蓋は汚水桝の蓋ではなく角型人孔蓋、すなわち中に人が入って作業をするマンホールの蓋だ。マンホールのふた 日本篇(林丈二 サイエンティスト社)に、台東区池之端1-1付近に「ここでしか見たことがない」蓋として写真もあるのだが、残念ながら既に撤去されたようだ。
続いて丸型の鉄蓋。網目模様が正方形になっている。
一回り小型の蓋。
さらに小型の蓋。
こちらは東京市下水道設計標準圖に記載されている汚水桝鉄蓋の図。右下にある中蓋というのが面白そうだ。どうやって使うのだろうか?
なお、都立図書館には東京市の下水道設計標準圖が2種類所蔵されているが、この図は昭和4年出版とされる巻に記載されている。もう1種類の下水道設計標準圖(東京市役所編纂)は刊年不明とされているが、掲載内容を見ると昭和4年出版とされる前者は後者に比べ記載内容が増えており、寸法単位が尺からcmに変更されている。また、マンホールのふた 日本篇で言及されている「昭和4年の仕様書(尺表記、上図の掲載なし)」の内容と後者の内容は同じもののようだ。従って都立図書館のOPACの登録情報に誤りがあって、刊年不明とされる後者が実際は昭和4年出版の下水道設計標準圖で、昭和4年出版とされる前者は昭和8年に行われた東京市下水道設計の設計変更後に出版された一世代新しい下水道設計標準圖なのだと思われる。
最後にごちゃごちゃと判りにくいことを書いてしまって申し訳ない。筆者の頭もごちゃごちゃになっている。
関連リンク
●下水君100周年記念企画01 ~ 東京市型鉄蓋
●下水君100周年記念企画02 ~ 日之出水道機器株式会社
●下水君100周年記念企画03 ~ 鉄蓋工業株式会社
●下水君100周年記念企画04 ~ 変則東京市型
●下水君100周年記念企画05 ~ デザイン蓋
●下水君100周年記念企画06 ~ コンクリート蓋
●下水君100周年記念企画07 ~ 化粧蓋
●下水君100周年記念企画08 ~ L型汚水桝・雨水桝蓋
●下水君100周年記念企画10 ~ 特殊人孔鉄蓋
●下水君100周年記念企画11 ~ 自働洗滌槽
●下水君100周年記念企画12 ~ 燈孔蓋
●下水君100周年記念企画13 ~ 中水道
●下水君100周年記念企画14 ~ その他の蓋
●下水君100周年記念企画15 ~ 送泥管
●下水君100周年記念企画16 ~ 私設下水道施設檢査證章標、他
●下水君100周年記念企画17 ~ 縁石、縁塊等
●下水君100周年記念企画18 ~ 鉄蓋虐待
●下水君100周年記念企画19 ~ 越境記録
●下水君100周年記念企画20 ~ 下水君の親類
●下水君100周年記念企画21 ~ 生い立ちの記
2011 年 12 月 13 日 1:21 PM
小型の雨水桝蓋、横浜でも似たようなのを見つけていた事に気付きました。ここの上の方「古そうな蓋」の二枚目です。→ http://tokyo-manhowalk.seesaa.net/article/235928351.html