岡元ではなく大元 ~ 大阪電気暖房株式会社


大阪電気暖房株式会社

大阪電気暖房株式会社(現 ダイダン株式会社)
 
なかなかカッコイイ紋章が中央に入った蓋。この蓋は東京都文京区本駒込、六義園に隣接したマンションに設置されていた。この紋章の蓋は関西で比較的よく見かけられるようだが、設置者や製造者が判明せず、長らく謎の蓋として扱われてきた。
 
 
 

大阪電気暖房株式会社

こちらは愛知県豊橋市内で見つけた蓋。下部に「O.D.D.K.」の文字が入っている。これにより紋章の上下も判断可能で、最初の文字は「お」であることが想像された。
 
 
 

大阪電気暖房株式会社

紋章とにらめっこをすると「岡元」と読めることから、岡元で始まる浄化槽を扱う会社を探したところ、大阪市港区に本社のある株式会社岡元工業所という会社が見つかった。さらにその工場をストリートビューで探したところ似た地紋の鋳物が転がっていたため、ほぼ間違いないだろうと判断したのだが、その後実際に岡元工業所へ連絡をされた方がおり、違うという返事だったそうで再び謎蓋に戻ってしまった。(これは鋳物ではなく、プロパンガスのボンベを置くゴム製の台座のようだ)
 
 
 

大阪電気暖房株式会社

しかしその後、マンホールナイト写真コンテストの初代大賞受賞者の安部さんのサイトお散歩 Photo Albumに大阪電気暖房の蓋ではないかという情報が載り、さらに日本マンホール蓋学会さんのサイトで裏付けまで行われ、この紋章は大阪電気暖房のものであることが確実となった。紋章の上部は逆さまの「大」の字で、下部は創業者の菅谷元治氏の「元」の字を使っているようだ。「O.D.D.K.」も、大阪電気暖房株式会社の略であると考えればスッキリする。「岡」と「大」、どちらも「お」で始まるが、そのせいでだいぶ遠回りをしてしまった。
 
紋章の使用期間や社名変更の時期などについてはそれぞれのサイトに詳しく書かれているのでそちらを参照していただきたい。また、創業者の菅谷元治氏と会社創業の背景については、イタンデイコウ!さんのサイトに詳しく書かれている。
 
 
 

大阪商工同業名鑑 金属品之部 大正14年度

これだけでは何となく悔しいので、国立国会図書館デジタルコレクションを探してみたところ、大阪商工同業名鑑 金属品之部 大正14年度に、社名変更前の合資會社大阪電氣商會大阪暖房商會が見つかった。現在のダイダン株式会社の社歴のページによると、株式会社大阪電気商会大阪暖房商会の設立は昭和8年10月で会社自体の設立(株式会社へ改組)もこの年となっているが、少なくとも大正14年の時点で大阪電気商会大阪暖房商会の社名を使っていたことが分かる。(ネット上で確認できる情報によると、前身の村井菅谷営業事務所から大阪暖房商会に改組されたのは大正4年)
 
電燈電力電話工事請負・暖房、衛生通風工事請負、大阪市西区江戸堀南通に所在し電話は土佐堀局。蓋を通して、一方的ではあるがずいぶんと親近感が増した。
 
 
 
 
追記(2016/10/07)
 

国立国会図書館デジタルコレクション:建設年鑑 昭和3年度版

もう一つ見つけた。
 
 
 
関連リンク
  ●ダイダン株式会社
  ●お散歩 Photo Albumさん
  ●日本マンホール蓋学会さん
  ●送水口倶楽部さん
  ●イタンデイコウ!さん
 

この記事へのコメント 3件

  1. EkikaraManhole より:

    【更新情報】 岡元ではなく大元 ~ 大阪電気暖房株式会社 #manhotalk https://t.co/6op0mGsKpB

  2. manhotalk_bot より:

    RT @EkikaraManhole: 【更新情報】 岡元ではなく大元 ~ 大阪電気暖房株式会社 #manhotalk https://t.co/6op0mGsKpB

  3. あや より:

    なるほど!すっきり致しました。ブログにも書いて頂きありがとうございました。
    ところでこの大阪電気暖房の単口送水口に先日出会ったのです。
    運命的な何かを感じるばかりです・・・

    http://sousuiko.blogspot.jp/2016/01/blog-post_63.html

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