阿佐ヶ谷散策 1/4 ~ 国鉄、東京都、荒玉水道町村組合、他
阿佐ヶ谷散策 1/4
今回はいつもとはスタイルを変えて、散策で見つけた順に蓋を並べて記事にしてみた。都内には様々な種類の蓋があるが、これをいつものように所属・種類別で記事にすると、まず資料が足りない。というのは例えば東京都水道局の制水弁の蓋一つとってみてもその種類は膨大にあり、一度の散策で見つけた制水弁の蓋だけではなかなか面白い記事にはなりそうもない。それに記事の数がいたずらに増え、逆に記事の面白さが(あるとして)希釈されてしまう恐れもある。対して、見つけた順に並べた記事にすると、鉄蓋散策の楽しさも伝えやすそうだ。プロフィールに書いているように「全国に設置されているマンホール鉄蓋の辞書的存在」を目指してはいるものの、たまにはこういうのもいいのではないかと思う。
というわけで、今回は駅からハイキングで歩いた阿佐ヶ谷の町で見つけた蓋をご紹介する。
阿佐ヶ谷駅北口を出て最初に目に入った蓋。真ん中に骨太な都章が入った東京市型地紋の蓋だ。下水道局の紋章がなければ建設局の設置、という推測は正しいのかな? 他の市町村ならば真ん中にその都市の紋章のみという蓋は普通なのだが、東京区部では珍しい蓋の部類に入る。
続いて国鉄の蓋。工部省が由来という「工」の字に「国鉄」の文字入り。
こちらは「国鉄」の文字の無いもの。文字が無いだけではなく、蓋の縦横が違うとか、T字地紋と蓋の縁とがくっついているとか、細かい点が色々と異なる。これらの蓋は駅周辺に何枚か設置されている。
中央に下水君が鎮座した蓋。普通の蓋かと思いきや、穴の部分が窪みもせず平らになっている。あそこがツルツルとかそんな愛称で一部に人気のある蓋。そういえば東京市型の下水道局の蓋で穴が開いていない蓋(窪みのみの蓋も含めて)というのはあまり見ない。手元にある東京市型の下水道局の蓋はどれも穴あきのものだ。
阿佐ヶ谷駅から阿佐ヶ谷神明宮、100m程しかない範囲にも色々な蓋が出てくる。これは東京都水道局の制水弁の蓋。仕様書によれば「鉄蓋角型2号A」というらしいが、2号Bってのは無いらしい。(この蓋は鉄蓋角型2号Aではなく、現行の仕様書に載っていないやや古いタイプの蓋のようです)
さらにレア蓋を発見。荒玉水道町村組合の止水栓の蓋。おそらく実用はされていないと思うが、こういうのを見つけると一気にテンション上がる。といっても一人ニヤニヤしているだけなのだが。
双子仕切弁。「弁」の字ばかりに目が行って気がつかずにいたけど、「切」の字も何気に姿形書換字。「七」であるべきところが「土」になっている。「切」の字の部首は「刀」で、「七」は偏だけど部首じゃないんだそうだ。つくづく可愛そうな「七」だ。
これは擬似蓋。「SSR」とはすぎなみ 知る区 ロードのことらしい。杉のキャラクターは「すぎまる」といって、知る区ロードの顧問、現人神の林丈二氏のデザインなのだそうだ。鉛筆と探検手帳とを持ち、ひらめきと汗とが表現されている。これが設置されている道を辿ると、知る区ロードをぐるっと散策できるのだそうだ。
ようやく阿佐ヶ谷神明宮に到着。まだ駅を出てから100m程しか進んでいない。
神明宮前にも疑似蓋が。でもさっきの「すぎまる」と何か違う。
こちらは「すぎまる」のガールフレンド?とも言われている「あいちゃん」。やるな、すぎまる。
巫女さんにいちいち反応するのはオッサンの証拠。
ちょうど七五三の時期なので、可愛らしい羽織袴・晴れ着姿がたくさんいた。(写真はありませんが)
折り返して今度は阿佐ヶ谷駅北口の駅前通りを南下する。最初に掲載した都章の蓋とは違う、丸付き都章の東京市型。これも建設局設置かな? 暗渠でもあるのかと調べてみたら、阿佐ヶ谷川という川が暗渠化されているのだそうだ。
こちらが正しい東京都下水道局の蓋。紋章部分が多少斜めだが。
駅前通りにはゴールデンすぎまる疑似蓋。
雨水枡の蓋にもすぎまる。ステップ・コーナーに踏まれている。
同じ並びにあったコンクリート蓋。中央にあるのは区章ではなく、コミュニケーションマークというらしい。
さあ出ました、萌え点(「弁」の字の右上の点)。これは意符書換字で、「天駈ける点」かな。
阿佐ヶ谷駅近くに戻ると国鉄マークの境界標が現われた。
境界標の近くには国鉄蓋もあった。「国鉄」の文字なし、というか削り取ったようにも見える蓋。地紋の形状は先に掲載した「国鉄」の文字ありの蓋と同じだ。
あちこちにある仕切弁。都章の有無は何か意味があるのだろうか? 右の蓋に比べて左の蓋は下手っぴな字だ。
杉並区の区章が入った蓋。ようやく駅まで戻った。まだスタートしてから300mも進んでいない。少し急がないと日が暮れてしまいそうだ。
中央線のガードをくぐって駅の南側へ。中杉通りにあった、かつて防火用水槽だったもの。年代は不明だが戦前のものと言われても驚かない。字体もいい。木が生えてるけど、これは誰かが植えたのではなく勝手に生えたように見える。
駅からだいぶ離れたけどJRの蓋が現われた。地下はどう繋がっているんだろうか。
時々見かける電電公社の紋章を削り取ったような蓋。鉄蓋虐待。
杉並区役所に着いた。駅からハイキングのコースでは区役所前は通らないけど、ここには夢の入口でさんが見つけた骨董蓋があるはずだ。これぞ情報共有の力。自分もそろそろ路上文化遺産DBを更新しないとならないとはいつも思っている。澁谷町とかネタもあるし。でもよい子は寝る時間(午前3時回った)だし、記事も長くなってきたのでので次回に続くのだ。
関連リンク
●阿佐ヶ谷散策 2/4(駅からマンホール:2011/10/30)
●阿佐ヶ谷散策 3/4(駅からマンホール:2011/10/30)
●阿佐ヶ谷散策 4/4(駅からマンホール:2011/10/30)
2011 年 11 月 22 日 7:57 PM
大した発見でもないのに名前を出して頂いて恐縮です。
ところで、「鉄蓋角型2号A」が出ている仕様書とはどのようなものなのでしょうか。
都庁の地下まで買いに出掛けたのですが、余りにもたくさんの仕様書が有りどれを買えばよいのか分かりませんでした。
2011 年 11 月 23 日 6:24 PM
いやいや、大発見です。古い蓋はネットで情報を集めて見に行くのがほとんどで、自分で発見することは少ないので。それに東京電燈とか市電氣局丸蓋など、面白い蓋を探知する能力と言うか才能、憧れております。
資料ですが、私が持っているのは「東京都水道用配管材料仕様書」の2巻目(2/2)です。リンク先(路上文化遺産DB)に、雰囲気の伝わる画像も引用しています(中途半端な著作権対策ですが)。
これではなく、「鉄蓋及び弁キョウ」の項目のみを纏めた分冊もあるようです。国鉄さんに見せていただきました。
あと「鉄蓋角型2号A」ですが、よくよく見たら掲載していたものとは別の蓋でした。現行の蓋の写真は無いのですが、一世代前の蓋は写真がありました。サイズは 520×360 です。