鉄蓋彩色方法の考察
決してネタ切れというわけではないのだが、今回はマンホールの蓋の彩色方法について少し考察をしてみる。
「路上の芸術」(垣下嘉徳 著、新風舎)や日本管材センター㈱のパンフレット(PDFファイル)によると、鉄蓋の彩色方法は大きく二つあるようだ。一つはカラーセラミックサンドを用いる方法、もう一つはカラーエポキシ樹脂を用いる方法だ。
セラミックサンドを用いた場合は、磨耗に強く滑りにくいが、使用できる色数が限られてしまう。エポキシ樹脂を用いた場合は、水や衝撃に強く、使用できる色数も豊富だという特色がある。
これだけ見るとエポキシ樹脂を用いた方がよさそうだが、第一機材㈱のカタログ(PDFファイル)によると、単色の場合に彩色にかかる費用は、セラミックサンドの場合20,000円、エポキシ樹脂の場合30,000円と大きな開きがある。色数を増やす場合一色につきセラミックサンドの場合は+3,000円、エポキシ樹脂の場合は+5,000円となっている。
上の写真はエポキシ樹脂を用いて彩色された青森県青森市の蓋。この他にも千葉県木更津市や秋田県角館町の蓋など、彩色された蓋のほとんどはこの方法による。
こちらはセラミックサンドを用いて彩色された千葉県飯岡町の蓋。セラミックサンドによる彩色というのは、粉末状の色のついたセラミックサンドを吹き付けるという彩色方法で、静岡県伊東市や東京23区の蓋のように、白単色という例が多い。複数色の例として、埼玉県さいたま市や山形県寒河江市、東京都府中市などの蓋が挙げられる。
こちらは神奈川県大磯町の蓋。空と海と砂浜の彩色方法はエポキシ樹脂を用いた方法だが、それ以外の部分は手でペンキを塗って彩色されているようだ。このように鉄蓋の凸部を彩色すると綺麗だが、すぐ剥げてしまうため、基本的に展示用の蓋でしか用いられない彩色方法なのだとか。
こちらは先月8/23に放映された日本テレビの「ぶらり途中下車の旅」の一場面。
埼玉を走るニューシャトルのぶらリ旅ということで、途中、長島鋳物㈱に立ち寄った際に、エポキシ樹脂による彩色過程がほんの少し映っていたので引用。
番組内では他にも彩色された蓋がいくつか紹介されていた。
ハードディスクの掃除をしていたら、普段滅多に見ない番組の動画が見つかった。「来週のぶらりナントカっていう旅番組の次週予告にマンホールの蓋がたくさん出ていたよ」と知人に言われて録画予約していたことを思い出し、せっかくだから見てみたことが今回の記事のきっかけ。
「今度の土日にBS日テレで再放送があるから、興味のある人はご覧になってみては」と締めくくるつもりだったのだが、この回は丁度北京オリンピック中継の関係で30分枠の特別編成(普段は1時間番組)だったためか、再放送はされないようだ。残念。
2009 年 7 月 30 日 7:18 PM
下水道展’09に行き、セラミックサンドによる彩色方法について誤解をしていたことが判明したため、本文の一部を改訂しました。