北海道の敵を京都で討つ ~ 北海道岩見沢市
北海道岩見沢市
五重の塔に続く風情のある街並みがデザインされた蓋。この蓋は一昨年北海道へ旅行した際に、同じ鉄蓋鑑賞愛好家のyanapongさんに案内していただき撮影したものだ。市が運営するスポーツセンターの敷地内に設置されており、用途は不明。またこのデザインの蓋はこれ一枚しか無いようだとのことだった。しかし同じ様式で造られた蓋は駅前通りに多数設置されているので、越境蓋というわけではなく岩見沢市が設置したものであることは確かなようだ。
ただ、この蓋の絵に相当するような場所は岩見沢市内やその周辺には無いそうで、どこかに実在する風景なのか、それとも想像で描かれたものなのか、用途だけでなくデザインも判らないという謎多き蓋とのことだった。
描かれた絵をよく見ると、右側の商店には「酒」と「塩」の看板も見える。塩の看板があるということは専売公社が存在した時代で、許可された酒屋などで塩を売っていた頃の風景なのかもしれない、、、などと考えているうちに、筆者が最近見た風景に似たようなのがあったような気がしてきた。
そこで昔の写真を探してみたら出てきたのがこの写真。2009年1月に筆者が撮影した京都の八坂通りの風景だ。五重の塔と右側の四角い建物の雰囲気がそっくりで、その手前に酒屋があるところまで同じだ。ただ、左側の建物の様子は全く違うように見える。本当にこの蓋に描かれているのは京都の八坂通りなのかどうなのか、いつか現地調査をしてみたいと考えていたが、先日その機会があったのでその八坂通りまで足を伸ばしてみた。
こちらが先日撮影した八坂通りの風景。蓋の絵を重ねてみると右側の建物はほぼ完全に一致していることがわかる。(ぐりぐり写真: 写真にマウスカーソルを乗せると動かせる)
早速この蓋の写真を持ち、この近辺のお店にお話を伺って回った。その結果、左側の建物(漬物処伊勢屋さん他)は5年ほど前に建てなおされており、それ以前はこの蓋のような雰囲気の建物だったとのお話を伺うことができた。さらに右側の建物についても、酒屋さん(卯田酒店)のお話から、建て替え前の雰囲気に似ており、それは約35年ほど前で、その時に一つ奥の四角い建物(野原工務店さん)は既に存在していたとのお話を伺うことができた。結果として、岩見沢市に設置されているこの蓋にデザインされている風景は、少なくとも35年以上前の八坂通りの風景だということがほぼ確実になった。ただ、左側に見える四条の旗の正体については、ここに70年住んでいるという地元の方に聞いてみても何なのかは判らなかった。
以上、デザインされているのが八坂の塔であることは判ったものの、旗の正体や岩見沢市との関連は判らずじまいで、まだ謎は残っている。
蓋に描かれている卯田酒店さんで購入した日本酒。ラベルに八坂の塔の風景が描かれている。石畳の雰囲気が現在のものとは異なるので、この絵も同じく古い時代のものかもしれない。文字通り絵になる風景だ。そのためこのアングルの絵画、版画や写真は数が多く、岩見沢市の蓋のデザインの元も、そのような作品の一つなのかもしれない。
関連リンク
●管理人のつぶやき(2009年)(Twitter)
●この日の管理人のつぶやき(Twitter)
●街を読むさん(yanapongさん)