東京府北豊島郡王子町
戦前に存在していた王子町の蓋。王子の「王」の字を「下水」の文字が取り囲むデザインの紋章が入っている。この蓋は王子本町2丁目で撮影したもので、周辺には11枚も残っていた。王子町は昭和7年に東京市に編入されているが、王子町下水道の起工は昭和3年、竣工は昭和17年とのことなので、実際に下水道の供用が開始された時には既に東京市だった可能性が高い。詳細は路上文化遺産データベースでご確認を。
こちらも王子本町2丁目に残る角蓋。判別しにくいが、丸蓋と同じ紋章が入っている。偶然取り残された蓋のようで、希少性が高い。
こちらも同じ紋章が入った丸蓋。この蓋は堀船3丁目のファミリーマート前に残っている。下水道展で頂いた資料G&U Vol.3(G&U技術研究センター 2008)にあるコラムによると、この蓋の紋章は他のものとは異なり、より早い時期に用いられたものではないかとの記述がある。
紋章部分の比較。左が王子本町2丁目、右が堀船3丁目の蓋。「王」の字の最後の画の反り返り具合が異なっているので、経年変化による違いではなく、確かに別の鋳型が使われているようだ。
王子本町2丁目の風景。王子町の蓋は非常に細い路地に残っている。
王子駅近くで信号待ちをする東京都交通局8500形電車。
こちらは王子駅に隣接する飛鳥山公園に静態保存されている都電6080号。あらかわ遊園に静態保存されている都電6152号と同じ形式の車両で、前照灯が一つであることから「一球さん」の愛称で呼ばれていた。
同じく飛鳥山公園に残る建造物、青淵文庫。重要文化財に指定されている。飛鳥山公園はもともと日本資本主義の父といわれる渋沢栄一が別荘(後に本宅)を構えていた地で、この青淵文庫も渋沢栄一の傘寿と子爵昇爵を祝って大正14年に建てられた。毎週土曜日に公開されている。
王子駅まで足を伸ばすと、どこかで見たような像があった。長崎の平和記念像を製作した彫刻家、北村西望が北区に居住していた縁から平成2年に設置されたのだそうだ。こういうの筆者の好みだ。
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東京府東京市(現 東京都区部)
東京都下水道局の旧紋章が入った蓋。この紋章はマンホールのふた 日本篇(林丈二 サイエンティスト社 1984)によると、明治44年10月26日告示の東京市下水改良事務所の紋章が由来とのことだ。さらに下水道局のページには、現在もよく見られるサクラ・イチョウ・ユリカモメのデザインの蓋は平成4年から使われているとの記述があるので、この旧紋章は明治・大正・昭和・平成と長い間利用されていたことになる。従って、この紋章だけから蓋の設置年代を推測することは難しい。因みに、現在使われている管理用の文字キャップ入りの蓋は、同じく下水道局のページによると、平成13年4月から使われているとのことだ。
ただ、今回この蓋で注目すべきは立派な蓋の外側の部分だ。これは「人孔縁塊」と呼ばれるものだ。当時の道路は簡易舗装や砂利道が多かったため、マンホールを補強する目的で設置されていたようだ。下水道展で頂いた資料G&U Vol.3(G&U技術研究センター 2008)のコラムに記述があり、それによると
東京市では道路課も下水課も昭和4年から60cm用の人孔縁塊を使用していた。マンホールに縁塊をつけたのは、簡易舗装の道路か砂利道であったため。東京市芝區田村町にあった明工舎の森勝吉さんが考案したものといわれ、当時の名称は「森式装鉄コンクリート・ブロック」といい、実用新案品だった。
とのことだ。戦中には鉄が不足したはずだし、戦後に作られた道路はまともな舗装になっているので、この蓋は昭和4年から開戦直後あたりまでの短い間、東京市の時代に設置されたものだと思われる。
人孔縁塊のある風景。この蓋は駒込駅前の細い路地で見つけた。ここには2枚残っていた。他にも数は少ないが、都内北部(豊島区・北区・荒川区など)に幾つか残っているようだ。
散歩の続き。東部下水道町村組合の蓋は見つからず、巣鴨まで来た。写真は江戸六地蔵尊のひとつ、地蔵菩薩坐像が安置されている眞性寺。
続いて「とげぬき地蔵」で有名な高岩寺。おばあちゃんの原宿こと巣鴨地蔵通商店街は、いつ来ても活気に溢れている。
本尊のとげぬき地蔵尊は非公開だが、「洗い観音」が境内に立っており、観音様を洗うための長い行列ができている。AEDが設置されている寺というのも珍しいかも。
巣鴨地蔵通商店街の庚申塚側の入り口。明暦3年(1657年)と刻まれた庚申塔があり、猿田彦大神が祀られている。
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●夢の入口でさん
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東京都豊島区
いろいろとコメントに困る蓋。まずデザインが謎。卵から芽が出ましたの図と、それを両手で抱えてみましたの図。
次に用途が謎。
蓋の脇には「特455-2」の立て札が意味ありげに置かれていた。「455-2」ということは、このような蓋なり設備なりが少なくとも455箇所はあるということだろうか? しかしこの蓋はここ以外で見かけたことがない。
この蓋は駒込駅前、正確には東京メトロ南北線駒込駅の4番出口前、旧駒込橋の欄干が保存されている植込みの端に設置されている。設置場所から東京メトロの設備ではないかと思われるが、やはり謎の蓋だ。
駒込駅。「山手線の中にあって季節になるとツツジが大変すばらしい駅」として関東の駅百選に選定されている。この日はここから六義園を回り巣鴨・王子へと足を伸ばした。
六義園。紅葉も見頃を過ぎたようだし、この日は別の探し物(東部下水道町村組合の燈孔蓋)もあったので、今回は入園せず。
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