Y.W.W. と N.W.W. ~ 蓋の親戚関係
蓋の親戚関係
「Y.W.W.」こと横浜市水道局(Yokohama Waterworks Bureau)の止水栓の蓋。
こちらも横浜市水道局の蓋で、やはり「Y.W.W.」と書かれている。左側の蓋は表面に滑り止めの無い別種の蓋かとも思ったが、こうして並べてみると同じ規格の蓋が摩滅しただけのようにも見える。さらに「100m/m」(左側のみ)・「S.V.」と書かれているので、管の口径が100mm(10cm)で、制水弁(Slide Valve)が格納されているのだと思われる。「m/m」は比較的古い表記(かつて斜めにmを並べてmmを表していた名残)で、ミリメートルを表すとのことだが、同じ「m/m」でも「20・25 m/m」と書いて「内径20mm/外径25mm」を表すこともあり、紛らわしい。
こちらは「Y.W.W.」と同じ調子で「N.W.W.」と書かれた量水器の蓋。実はこの蓋は、昨年新潟市内で見つけた新潟市水道局の蓋だ。この類似性についてはマンホールのふた 日本篇(林丈二 サイエンティスト社)に記述があり、明治期に日本の近代上水道・下水道を設計した三田善太郎が横浜市と新潟市の上水道創設に深く関わっていることが関係しているのだろうと推測されている。
さらにお隣の神奈川県横須賀市の上水道でも同様に「Y.W.W.」の表記を用いていたようだが、現在ではその表記は使われておらず、「Y.W.W.」と書かれた横須賀市の蓋はほとんど残っていない。写真はその数少ない「Y.W.W.」表記の量水器の蓋で、「器水量」の文字が右書きになっていることから古いものであることが想像される。ネットで調べてみると、さらに他にも広島市「H.W.W.」と尾道市「O.W.W.」でこの表記が用いられていたようだ。
こちらは横浜市水道局の消火栓の蓋。「Y.W.W.」と書かれている。
こちらは新潟市水道局の消火栓の蓋。「N.W.W.」と書かれている。下水道関連の蓋では「東京市型」と「名古屋市型」に代表される系統が有名だが、上水道の蓋にもこのような親戚関係が見られるのは面白い。
さて、横浜市と新潟市とを慌しく行き来してしまったが、このブログは筆者の旅行記でもあるのでその記録。この日は保土ヶ谷駅を下車し、街に残る旧東海道の名残を巡ってみた。写真は東海道五十三次の4番目の宿場である程ヶ谷宿の本陣跡。幕府の役人や参勤交代の大名がここに宿泊した。
明治3年に廃止された本陣だが、当時の門が残っている。
途中、箱根駅伝の難所「権太坂」を登った。旧東海道でも「権太坂」は難所とされたようだが、旧東海道はこの写真の権太坂(国道1号線)とは少し離れた位置を通っている。
品濃一里塚。日本橋から九番目の一里塚で、程ヶ谷宿とその先の戸塚宿との間にある。街道の両側の塚が当時のまま残っており、県の史跡にも指定されている。
保土ヶ谷駅に戻ってきた。駅前には戸塚宿と箱根駅伝の蓋が新設されていた。どうせなら戸塚宿じゃなくて程ヶ谷宿を走る絵にすれば面白かったのに。でもこの蓋のデザインは好きだ。
関連リンク
●神奈川県横浜市(駅からマンホール:2010/07/19)
2011 年 2 月 7 日 11:40 AM
保土ヶ谷駅前にもあったのですね。
中継地点ごとにデザインが違えば、制覇したくなっちゃいますが……
2011 年 2 月 7 日 1:30 PM
箱根駅伝にあわせたのか昨年末に増殖したようで、保土ヶ谷駅では3枚確認しました。